合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず
「傍から見ると、痴話喧嘩だな」
ポツリとマサさんが呟いて、「君、責任とって春ちゃんを宜しく頼むよ」とわたしと山城を店の外へと追い立てた。
「お前なぁ~、強がっても春ちゃんは女なんだぞ、傷つけたら許さんで」そう言ってマサさんは軽く山城の肩を叩いた。
その声に小さく頷いた山城の、わたしの肩を抱く手に少しだけ力が入ったと感じたのは気のせいかな。
泣き叫んで、力尽きて、ぐったりしたわたしはその手に縋りつきたいと思ってしまう。
酔っても無いのに取り乱してしまったのは、多分、寝不足のナチュラルハイが成せる技。
山城に抱きかかえられるようにマンションに戻り、わたしはそのままベットに倒れこんだ。
「責任とって、抱いてよ」
当然の如くわたしの上に重なった山城は、ゆるりと襟からネクタイを外した。
「お望みとあらば何度でも」
わたしの脚を割って身体を引き寄せ、首筋にキスを落とす。
「寂しくなくなるまで抱いて」
わたしの口からは、素直に欲望が漏れて出た。
「僕で良ければ傍にいますよ」
山城の大きな手が自分の肌の上をゆっくりと這う。
それは、わたしがずっと待ち望んでいた温もりだった。