合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず
誠とは同期だった。
入社した時は、わたしの方が断然強気で。
若くて勝気で、そこそこ美人のわたしは相応にもてた。
だから右も左もわからない、お子様な誠なんて眼中になかった。
でも、数多の言い寄る男の中でわたしが選んだのは、上司との不倫。
あの頃は、男の自信に弱かった。
自分より強気な男に魅力を感じた。
お子様だったのは、わたしも同じだ。
若気の至りで二十台を無駄に過ごしたわたしが誠と再開したのは、八年後、三十二歳の時だった。
関西支社に移動になっていた誠が本社に戻って来たのだ。
奴はやっぱり弱気のままだったけど、身体が一回り大きくなって、頼れる男になっていた。
「お前まだいたんだ」
誠はそう言って笑ったけど、わたしは容赦なく鳩尾に軽くパンチをお見舞いしてやったのだ。
そんなわたしを「変わってねぇな」と受け止めてくれた誠だった。
それから仕事で何度が顔合わせて、仕事の相談をしたり、されたり。
なんとなく話が合って、二人で飲みに行くようになって。
最初に告白したのはわたし。
「一緒に暮らさない?」
確か、そう言った。
「俺でいいの?」
弱気な誠はそう言った。
わたしが大きく頷くと、やっと嬉しそうにわたしを抱きしめてくれたっけ。