My Sweet DRAGON
「で、芹奈サン、誕生日なんですよね?」



「あ?」



でもここには空気が読めない奴がもう1人。



口元をヒクつかせ、ギギギッと音がしそうなほどゆっくりとした動作で振り向けば、そこにはニコニコ笑顔の龍樹。



………マジ嫌な予感しかしねぇ。



「えっと、」



「じゃあ、お誕生デートしましょうか?」



「は?」



「今日はスペシャルデートですね。俺、なんでも奢っちゃいますよ!」



「いや、デートとかマジいらねぇし…」



「どこ行きたいですか?お買い物とかいいですよねー。あっ、そうだ!駅前に出来た新しいカフェでケーキ食べましょ!ね、そーしましょ!」



「いや、ケーキは家で食うし。……たぶん」



「あそこ、美味しいらしいですよー!楽しみですねー!」



「て、スルーかよ!?」



「だってここで折れたら絶対行ってくれないですもん!ここは強引にいかないと!ね?」



「………あーもうヤダ。こんなのヤダ。アタシの日常を返せ。今すぐ返しやがれ、コノヤロー」



ゲッソリとするアタシの側では、トントンと人差し指で教壇の端を叩きながら、それからぁ~などと、嬉々としてデートプランを提案し続ける龍樹。



そんな龍樹と明らかにイラついてる3バカをチラ見し、ガクッとうなだれたアタシは、この、悪夢のような10日間の出来事を思い返した。

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