幼なじみと一途な恋愛
そのあと、どうやって教室に戻ったのか、どうやって家に帰ったのかも覚えてない。
ただ、愛羽がすごく心配してくれてたことだけは覚えてる。
「ただいま」
あ…。
燈弥が帰ってきた。
…迷惑はかけちゃダメだ。
私はグイッと袖で涙を拭い、玄関に燈弥を出迎えに行った。
「おかえり!」
「ん。まりあ、コーヒー淹れといて」
「分かった!」
…大丈夫。
バレてない。
いつも通りに会話出来てる。
私はキッチンに向かい、コーヒーを淹れた。
燈弥はミルクを必ずひとつだけ入れる。
そして、砂糖は小さいスプーンの半分くらい。
それが、甘いものがあまり好きじゃない燈弥の、昔からの決まりごと。
そんな燈弥の決まりごとが分かってしまうということが、一緒にいた時間の長さを教えてくれる。
「まりあ、できた?」
「あ、うん!」
二人分のコーヒーをカップに注いで、いつものソファに腰かけた。