春風
初恋
 僕はもしかしたらまた彼女に会えるかもしれないというわずかな希望を抱いて、昨日彼女に会った時間に公園のベンチへ詩を書きに走った。
彼女に会えるかも知れないと思うと、不思議とペンが進んだ。
   『あの花はなんという花なのだろうか。
     誰が名づけたのだろうか。
      僕が触れたら笑ってくれるのだろうか。
       それとも地に落ちてはかない人生を終えるのだろうか。
    あの花は何のために咲くのだろうか。
     誰かに望まれて咲くのだろうか。
      僕が笑ったら笑い返してくれるのだろうか。
       それとも僕の声は届かず存在を知ってもらうことすらないのだろうか。
    僕が思えば思うほど何もできないと知らされるだけなのに
    どうして僕はこんなに心を動かされるのだろう。』
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