ミッション#メロンパンを争奪せよ!
「な、なによ…。」
口ではそう言ったけど、頭ん中はポカンとしてた。

〝可哀そうな人〟




アタシ、誰かを信じた事あったかな。





みほちゃん……アタシの姉、美穂。


彼女が通り魔に殺されて5年。
その通り魔は姉のクラスメイトだった。

怖かった。

アタシだっていつそう身近な人に殺されちゃうかわからない。

「あんな女消えさればいいと思ってた。」
犯人がそう言ってた。
あんなに優しかったみほちゃんだって、人から恨みをかうんだ。

こんなアタシなんて、簡単に殺されちゃうよ。


いつそうなるか分からない。
アタシは怖くなった。

その感情は歪んで壊れて曲がって
アタシは自分中心の世界に溺れた。

周りの人間なんてクズだ。
そんな風に思ってた………




しゃらり、と。
筆箱についてるキーホルダーをみた。
みほちゃんが作ってくれたもの。

手には、おじいちゃんのシャープペン。


つー、と頬につたった。



アタシは恐怖を身にまとって
その恐怖さえニセモノの威厳をまとって
アタシを守ろうとしてたんだ


恐怖におびえてただけ。


ちょっとくらい人を信じてみたって…



見えない恐怖におびえていたって
何にも進みはしない

みほちゃんみたいに優しい人も
おじいちゃんみたいにあったかい人も
きっとたくさんいるはず


信じてみたい



アタシは走った


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