ミッション#メロンパンを争奪せよ!
あと10分。
今日は私もソワソワする。
唯人君も、もちろんソワソワしている。

今日は勝てるかな?

でも竹友センパイやナグサメ先輩はずっと食べれてないんだよね?

せいぜい唯人君が入学した今年の春からは食べてないんだろう。

今は5月。

毎日唯人君は、はむはむとメロンパンを食べている。

つまり…とにかく30回以上は負けているのか。

でも、私が思うに一生勝てない気がする…あのふたり。

敗北同盟、だもんね…。

じゃぁ私は今日っ、食べてやる!


キーンコーンカーンコーン…
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!

今日は少し挨拶が遅れる。

唯人君は〝待ってられっかぁ!〟とでも言うように教室を飛び出す。

私もそれに続く。

「にっ、新島ぁ!!高梨ぃ!!!」

先生の声は、もう聞こえない。



「はい、紗緒ちゃん。カフェオレ。」
「あざーす…。」


はむ。
「唯人君速いっす…。」
はむ。
「そりゃそーだろ…。」
はむ。
「ここで食べるってのもムカツクよね。」

はむ。
「「「負けたぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」」」

敗北者3人。
唯人君の前で嘆く。
唯人君はやっぱり、はむはむとメロンパンを食べる。

ちくしょぉ…。

「ていうか~、俺、紗緒ちゃん来てからカフェオレとられてるんだけどぉ~!」

「え?じゃぁ今までのトップ2は竹友センパイって事ですか?」

「そうだよ。竹友は2年じゃ一番速いからね~。」

「えーッ、マジッすか!?」

「50m、7.3!」

「私7.1ですけど。」

「えええええ!」

「唯人君は…6.8だったかな?」

「はやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ナグサメ先輩はどうですかー?」

「本気で走ったことないから分かんないなぁ。メロンパン争奪戦だって、竹友は本気だけど、俺はそんな竹友が面白いから追いかけてるだけだし。」

「本気じゃないんですかぁ!?本気でやってくださいよっ!」


そんなこんなを話しているうちに、ひとつの疑問が思い浮かんだ。



「唯人君が入学するまでの王者って、誰だったんですか?」

「去年の3年生だったよ。」

ニコリと、ナグサメ先輩が笑って話してくれた。
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