ミッション#メロンパンを争奪せよ!
…キーン、コーン、カーン、コーン…。

いつもより
優しげに
遅めに
迎え入れるように
チャイムがなる。

唯人君が掴んだ手をすっ、と離して
「行くか。」って小さめな声で言った。

私も「うん」とだけ答えて後ろをついて行った。


やっぱり何も話さない。

ドキドキしてるわけじゃなく
ワクワクしてるわけじゃなく
フワフワしてるわけじゃなく

なんだか分からない感覚
軽い安心感に包まれた。

隣に居るだけで、嬉しかった。

言葉なんて、必要無かった。


きっと今までの私だったら今頃
「唯人君、どこいっちゃったんだろ?」
とか思って机で本読んでたろうな。


やっぱり動き出してよかった
やっぱり恋っていいなぁ


一人で
なんだか嬉しくなった。
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