ﾐｯｼｮﾝ＃メロンパンを争奪せよ！

「…はい。」

そう答えながら振り返ると。


そこには可愛い女子生徒がいた。
明るめの茶色で、短めの髪。
シャツに、赤いネクタイを緩めに締めて。
短めのスカート。
派手めのスニーカー。

これが俗に言う、『イマドキ』か。

「よかったー、やっぱ新島さんだったっ！」
その子はホッ、とした様子でこっちを見る。

…、あれ？
この子、どっかで見た事ある。
えーと、えーと。

「あっ、いきなり声掛けてゴメンね？あたし、同じクラスの石垣杏(ｲｼｶﾞｷ ｱﾝ)。」

そうだっ、石垣さんだ！
よく音楽聴いてたりしてる、石垣さん。


「あのさぁ、あたし、新島さんの事もっと知りたいんだよねー。」

え、いきなり何。

「だからあたしとさ～、友達になってくんない？」



〝へー、紗緒ちゃんって言うんだー。じゃ、あたしの友達になってよ！よろしくね、紗緒っ！〟

頭にあの時の笑顔が思い浮かぶ。
そして、スルーした時一度こっちを見た、見下したような瞳を。

目の前の石垣さんと重なる。


真衣ちゃん

私はまた裏切られてしまうの？


怖くて、怖くなって、
逃げたくなってしまった。

「ご、ごめん。今日、急いでるから…。」



そうとだけ言って、走って言った。



ごめんなさい、石垣さんっ…。