ミッション#メロンパンを争奪せよ!
「いってきまーす。」
「いってらっしゃーい!」
翌朝。
母の挨拶に見送られ、私は家を出た。

学校行ったら石垣さんに言うんだ。
「昨日はゴメンね、そしてありがとう。私と友達になってください。…昨日はゴメンね、そしてありがとう。私と友達になってください…。」
何回も何回も、ブツブツ繰り返しながら歩く。
…その時。

「あ」
足に何か当たる。
つまずく。

こける…!


ガシッッ

「大丈夫!?」
腕を支えられ、どうにかコケなくてすむ。

「あ、ありがとうございま…」
助けてくれたのは…

「い、石垣さんっ!」
「新島さん、大丈夫?」
ハァハァと息切れながら、私を支えてくれてる。

「あ、ありがとう…。」
お互いに姿勢を立てなおす。

「びっくりしたよ…。見つけたら、こけそうになってんだもん。」
ハァハァしながら笑ってそう言う石垣さん。

言わなきゃ。
言わなきゃ。
言わなきゃ。

え、えっと…。

「あのさ、…昨日、いきなりゴメンね?」
「え!?」

先に言ったのは、石垣さんだった。

「なんか軽く、テキトーって感じで言っちゃってゴメン。…でもあたし、本気なんだ。本気で新島さんの事知りたいんだ。…だから」

「あ、謝んなきゃいけないのはこっちだよ!!」

思わず大声で言っていた。

「私、過去に、ちょっと友達関係でいろいろあって。それで怯えちゃって、関係ないのに石垣さんを避けちゃって。ゴメンなさい。…そ、そしてありがとう。…石垣さん、だから私と、…と、友達になってくれないかな?」

言ってるうちに恥ずかしくなってきて、
どんどんうつむいてしまう。
それでも、スッ、と手を差し出す。

「…こちらこそ!よろしく、紗緒!」

「…うんっ!よろしくねっ、杏!」

わたしたちは ギュッと手を握った。


同じせりふだったけど
真衣ちゃんの影とはもう重ならなかった。
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