ミッション#メロンパンを争奪せよ!
4時間目の中盤。

唯人君を見ると、もうソワソワしている。
メロンパンが待ち遠しくてたまらないのだろう。

「ぷ。」
小さく笑う。

この様子は、ずっと変わらない。
時計の針が30分をこえ、あと授業終わりまで20分となると、唯人君はソワソワしだす。
いつだって。
毎日毎日ソワソワソワソワ。

可愛いのだ。
ソワソワ唯人君は、唯人君の中でも一番可愛い唯人君なのだ。


ハッ、と我にかえる。

いけない。今日は私も購買へダッシュしなくちゃいけないのだ。
唯人君にクスクスしている暇はないのだ。

長ったらしい黒髪をポニーテールに結ぶ。
後ろの席だから誰にも見られないからすむ。

勝算はあるのだ。

ここは2Fの1-D。
1Fの購買に一番近い階段に、一番近い教室。
そう!!そして、この私の席!!!
ここの席は、教室の後ろ扉に一番近い席。
つまり階段に一番近い席!!!
唯人君は、私の左の列の一番前だ。
ダンゼン私の方が速く教室を出れる。

あとは、私の結構速い足が勝てるかどうかだ。

ハンデはあるのだ。

勝てる!
勝ってやる!

唯人君の目の前でメロンパンを買うのだ!!

そうすればきっと、強い印象残るよね…!
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