ミッション#メロンパンを争奪せよ!
「唯人!?」
「高梨!?」

周りの人がざわつく。

唯人君、意識…ない?


「え!?ねぇ、ねぇ!唯人君!!唯人君!?」

唯人君の肩を揺らす。


メロンパンなんてほっぽった。
どうでもいい。




「紗緒チャン!!」
後ろから声がした。

「竹友センパイ!ナグサメ先輩!」
二人が駆け寄ってくる。
そして、唯人君をひょいって抱き上げた。

「俺ら運ぶから。」
「わっ、私も行きます!」

先輩達の後ろに続く。


「おい!お前!」

誰かに声をかけられる。
振り向くと、…メロンパンが飛んできた。

「忘れもんだぞ!」
「あっ…ありがとうございます!!…ってあっ、お金…。」

メロンパンの代金を財布から取り出す。
小さい袋に入れて、おばちゃんに向けて投げた。

「受け取ったよ!」
「分かりましたっ!」


そう言って、先輩達の後ろを追いかける。




さっきの人も、本当に知らない人だった。
でも、メロンパン拾ってくれた。
奪っちゃおうなんて人、いなかったんだ。


この争奪戦って…
本当に、誇り高い戦いなんだなぁ…。



なんか、そう思った。
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