ミッション#メロンパンを争奪せよ!
<紗緒サイド>

「…唯人くん、好きです。あたしと…もう一度、付き合ってください。」
桜木さんの声が、ドア越しから聞こえた。

二人の話を聞きだしたのはついさっき。
「お前が離した手だろ?」
初めて聞いた
唯人君の温度の感じられない声に衝撃を覚えた。
保健室のドアがこんなにつつぬけなのも衝撃だが。


「…俺はもうお前とは手は繋げねェよ。」


唯人君が言う。
心臓が高鳴る。

二人、繋いだ事ある手。
桜木さんは、唯人君の手の温度を知ってる。

私、知らない。



…苦しい。

変な悔しさが襲ってくる。
私の知らない唯人君…。


………。

「…、わかっ、た。」
桜木さんの声がした。

泣きそうな声。



足音が近づく。



私はとりあえず逃げた。
保健室から避けた。


とりあえず、盗み聞きを知られたくない。
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