ミッション#メロンパンを争奪せよ!
「…紗緒…。」
泣いてる私を見て、不安そうになる杏。


「…言ったじゃん…、辛いことがあったらあたしに相談してって…。」


「…強制なの?」

「そういうわけじゃないけど…。」




「…もう嫌。私もう嫌。」

「…何が。」


「メロンパンめがけて走らないでって桜木さんに止められた」

「…気にしなくていいよそんなの!」


「でも、彼女は間違ってない。」



そうだよね
本来好きな人の邪魔なんてしちゃいけない



「はじまりは…キタナイ理由だよ。唯人君と近づきたいだなんていう下心…。真剣にメロンパンを手にしようとする彼を邪魔して、一体何になるというの?そんな…無駄なくせに彼には迷惑をかけてる私に…もう嫌気がさしたの。もう邪魔したくない。とか言っても…ただ迷惑と言われるのが怖くてただ邪魔だと言われるのが怖くて、そんな風に言ってるだけ…。結局は自分の事しか考えてない自己中で…。」

「紗緒…。」

「…こんなキタナイ自分、唯人君に知られたくないよ…。」



「紗緒、そんなの全然キタナくなんてないよ!!」

杏の言葉が心に刺さる。

「自己中でも、何か始めなきゃ前には進めなかった!紗緒と唯人君…あんなに仲良くなったんじゃない!諦めちゃ…」


「…もういらない。キレイゴトなんていらないの。結局は私なんて唯人君に恋する資格なんて無いんだよ!!!」


そう言うと、ボロッと大粒の涙があふれ出る。



私はもう嫌で逃げ出した



杏はもう走ってこなくて

私はただ泣きながら走った



なにやってんの 自分




責め続けた

責め続けた


もう嫌いだ


全てが嫌いだ



もう何も知らない


分かんないもん
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