ﾐｯｼｮﾝ＃メロンパンを争奪せよ！

シーン…
とした教室


だった。

さっきまで。


そして今


ガコッッッ
ガッターン！！！

何かの音が響いた。



今、教室内の誰もが驚いていただろう。
彼女一人を除いて。

「…フンっ、生意気。」

紗緒の机が、彼女…麗華に蹴られ倒れた。
ノート類が、床に広がる。

次に麗華は紗緒のロッカーに行き、ガンッッと足を蹴り入れる。
麗華の蹴りの衝撃でロッカーから教科書やファイルが出てきた。

「皆、トイレ行こ。」
そういって麗華のグループは教室を出る。
まるで何もないように、紗緒のノートを踏みながら。


「…っ。」

あたしは、悔しかった。
あまりにも自己中な麗華に腹が立った。

確かにあんなキレ方されたらビックリするし「はぁ！？」って思うかもしんない。

でも悪いの麗華じゃん。
喧嘩売ったの麗華じゃん。

今まで周りは自分に逆らわないのが当たり前だとか思ってたわけ？

晴彦は自分の物とか思ってたわけ？



自己中…。




そんな事を思いながら
あたしはただ倒された紗緒の机を見ていただけだった。



すると…
教室に一人、彼が入ってきた。

メロンパンをはむはむと食べながら。


「…唯人。」
誰かがそう言った。

高梨は紗緒の席んトコまで来るとメロンパンをくわえ、空いた両手で紗緒の机を元の様に直した。

一緒に倒れた椅子も。

そしてノート類を拾い、手でパタパタして綺麗にし、机の中に入れる。



あたしは思わず高梨のトコに行った。
そしてノート類をパタパタして綺麗にして机の中に入れた。

あたしに続いて、花音や佳苗達も紗緒のロッカーの荷物を戻す。


高梨のなんでもないようにこーいう事できる優しさが、何もできなかった自分を動かした。