ミッション#メロンパンを争奪せよ!
<紗緒サイド>

同時刻…………



「…。」
私は渡り廊下にしゃがみこんでた。

最近は落ち込むとここに来るようになってた。
…本当は忘れないといけない場所なのに。


「うぁー…。」

もう全部が嫌になっちゃってた。
田中。
辻原。
自分。
メロンパン。

例えばメロンパンを追いかけ始めなかったら地味なままな私でいられたのかな?

唯人君に恋をしなかったら…私はもっと別な幸せを感じて、今より幸福に包まれたのかな?


恋しなきゃよかった

ってだけはなんだか思えなかった。



この恋を見捨てたくなかった。
この恋に誇りを持ちたかった。
この恋を邪魔だと思いたくなかった。

この恋は

私にとって大切なもの



でも

私はそんな恋をする資格なんて…





うつむいていると、スタスタと誰かが通った。


誰?理科の先生?



そう思ったのもつかの間
その誰かは隣に座った。



「…唯人君…。」

隣の彼は、のんきにコーヒー牛乳をのんでいた。
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