【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
「これ読んでください」
なんて言われて、その封筒を押しつけるように
俺に手渡すとソイツは看護師たちの輪の方へと帰っていく。
勝手に盛り上がって離れていくアイツラ。
ため息と共に、その封筒を見ることなく鞄の中へといれる。
本音で言えばその場で破り捨てたい。
だが学生時代、学校の最寄駅で近くの女子高の奴らにされた時、
目の前で破り捨てた俺を由貴がキレて拾い集めた。
それ以来、第三者の目に触れることのない自宅で、
シュレッダーにかけて読むことなく捨てることにしている。
「また貰っちゃったね」
「ったく。
アイツ、一昨日のオペ看だった。
意思の疎通が出来なくてテンポがずれた器械だし。
こんなことやってる暇があれば仕事をしろ」
「あららっ、そんなことあったんだなね。
もうこの辺りで、飛翔が彼女作って 落ち着くしかないねー。
こうなったら。
今まで飛翔に、女性の影がなかったって言う方が不思議なんだよ」
なんて好き放題由貴は俺のことを言いながら
駐車場で自分の車に乗り込んだ。
ミニクーパーが好きな由貴が妃彩さんとの同棲を機に、
新しく車を手にしたのはアリスト。
「じゃ、お疲れ様」
車に乗り込むと由貴は静かに車を走らせた。
俺も自分の愛車へと乗り込んで、
ゆっくりと総本家に向かって車を走らせた。