【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
「なら当てようか……朝、通勤時何かがあった。
違う?」
「まぁな。それで?」
「そこで多分、マナー知らずの人に会ったとか?」
マナー知らず。
そうだな。
確かにアイツはマナーがなかったな。
助けてやったのに礼の一言もない。
「あぁ」
「やっぱり。
飛翔の家ってマナーに関しては昔から厳格で古風だから」
厳格で古風って普通だろうが。
「むしゃくしゃしてるなら話してみれば?
聞くくらい付き合うからさ」
こいつのポジションは昔からちっとも変わっていない。
しかも最近のコイツは、念願の想い人
春宮妃彩【はるみやひめあ】とこの春にゴールして、
パワーアップしてやがる。
「まぁ何があったか話すとだな……朝、透析室の看護師が車が故障したみたいで困ってた」
「うん。
それで」
「調べてなおしてやったんだけど礼がなかった」
「後は?」
「故障の原因がホーンによるヒューズトラブル。
ホーンを純正から改造したにも関わらず中を対応させていなかった。
業者がしたなら普通はそこまで確認するだろ。
いい加減な仕事しやがって」
「はいはい。わかったって……業者の人のいい加減な仕事にむしゃくしゃして、
その透析室の看護師のマナーの悪さに朝から機嫌が悪かったと。
もしかして、今日の診察室への入りが遅くなったのもそれが原因?
いつもより入り遅れたんだよね」
って……由貴……おまえ、その情報何処から聞いた?
確かに今日、俺は診察室への入り時間が何時もより5分ほど遅れた。
普段から余裕を持って行動しているから患者に迷惑をかけることはなかったが、
入りが遅れたことには違いない。
由貴と二人、病院食堂と同じ役割の院内レストランで
日替わり定食を進めながら過ごす昼休み。
食事が終わって、食後の珈琲タイム。
俺はブラックで何時もの珈琲。
由貴は俺の苦手なハーブティー。
「なぁ最近、勇は?」
……勇……。
俺と雪の共通の親友。
俺の相方、次期院長と昔からいろいろと心的問題があって、
今は……病院勤務を少し離れている。
「勇は何時もと変わらないよ。
最近は勇自身も落ち着いてきたみたいだね。
教会には今も通ってるみたいだけどね」
「そうか。
あっちも最近は落ち着いてきたしな」
「うん。そうだね……昔に戻れないのかなーって
最近良く思うよ」
「おいおいっ。言葉間違えるなって。
昔に戻っても仕方ないだろ。
同じ歴史を繰り返すだけだろ」
「あっ、言われてみれば……そうだね。
でも……」
「あっ。あのー……お話中失礼します」
由貴の会話を遮って突然侵入してる声。
無言で声の主の方に顔を向ける。
「あっ……えっと……今朝は有難うございます」
看護師は人目も気にせずに、
いきなりお辞儀をして謝罪する。
「あっ、透析室の塔矢さんだよね。
飛翔が助けてあげた子って塔矢さんだったの?」
その看護師の顔を見ると向かい側から由貴が、
看護師に話しかける。