【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
うーん、先行きがかなり厳しそう。
やっぱり食事に誘ったの社交辞令でも間違ったかな私。
シートベルトを閉めて音楽をかける。
後は先生の車と合流して走りださないと……。
でも私……今思うと先生の車知らないかも。
確か……白い車に乗ってたはずなんだけど。
先生たちって何処に駐車してるんだろう。
なんて思ってる間に白のベンツが姿を見せる。
げげっ。
やっぱり、そうだよね。
先生だもん……ギャップを考慮しとくべきだったかも。
せめて日本車だったらまだ多少のアンバランスが
考慮出来るかも知れないけど、外車と私の愛車じゃな。
車の中から先生が先に車を出すように合図を送る。
その合図を確認して私は先に愛車を走り出す。
マーチの後を追いかける白の高級ベンツ。
絶対、見た感じがチグハグだよ。
目的の場所のお店でも先生の車と私の車は駐車する階が
変わってしまう。
どんな車に乗っててもお客様としては分け隔てなく対応してくれるこのお店も、
前に一度食事中に高級車を傷つけられるトラブルがあったとかで
今はパーキングスタッフが最初に考慮して駐車スペースを案内する。
まぁお店も苦肉の策で始めた対策だとは思うけど、
このシステムが私と先生の壁って言うか距離を実感させられたみたいで
また落ち込みモード全開かも……。
愛車を駐車させて店内へと続く歩道を歩いていくと、
程なくスロープが見えて合流地点に到着。
合流地点ではすでに駐車を終えて降りてきた
先生が立っていた。
長身のシルエットがスーっと伸びている容姿。
「お待せしました」
慌てて駆け寄って謝罪する。
「いや」
それだけ告げると、先生はまた先に歩き出してしまう。
あぁー愛車に乗ってた時間に戻りたいかも……なんて弱気になってしまう私。
私って……やっぱり人間関係苦手だよ。
先生の後からまたついて歩く私。
隣を歩く勇気なんて微塵もない。
お店のドアが開きウェイターが挨拶に寄ってくる。
「早城様、いらっしゃいませ。
ただいま、担当のスタッフをお呼びします」
えっ今、早城様って言った?
しかも担当のスタッフって?
何で先生の名前を知ってるの?
「お待たせいたしました。
早城さま、何時ものお部屋をご用意します」
っと奥から駆け出してきたウェイターが、
先生に声をかける。
何時もの部屋?
何?
キョロキョロと先生とスタッフを交互に見つめて、
戸惑う私にウェイターはチラっと視線を向ける。
「いやっ、今日はいい」
「さようでございますか。
それではお客様のお名前をお伺いしても宜しいですか?」
ウェイターが突然、私に問いかけて苗字を告げるとまもなくして、
テーブルの方へ通された。
予約をしていたテーブルには『塔矢様』と書かれた札が立てられていて、
テーブルには綺麗に花が生けられている。
ウェイターが座席をひいた後、
椅子の前に立つとタイミングに合わせて席を調節してれる。
「どうする?」
「あっ、えっと……その……」
「俺が注文してもいいか?」
先生の問いに思わず反射的に頷いてしまう。
すると先生は手馴れた様子でメニューを注文していく。
コース料理として出てきたメニューは、
前菜から始まってゆっくりと姿を見せる。
食事を進めながら何とか会話を続けようと試みるものの、
上手くいかない。
最初はイタリア料理の話題から挑戦。
何か先生、このお店の人と親しそうだし、
イタ飯にしたのも間違いじゃなかったのかなーなんて思ったけど……撃沈。
会話が発展しなくて暫くは無言の食事。
コースがメインディシュに入った頃、再度会話を試みる。
この一声が私にとってかなり勇気がいることで……呼吸を整えて……
覚悟を決めて……。
「早城先生、お車のことお詳しいですよね。
先生はお車お好きなんですか?」
こっちの話題だったら……どう?
発展しますように……って祈りながら問いかける。
「あぁ」
「えっと、私はドライブが好きなんです。
先生みたいに車は詳しくないんですけど……」
「そうか」
望み空しく撃沈。
仕方がない次の話題にかけるしか……ないよね。
頑張れ私。