【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
その駐車場へと車を駐車すると、俺は何時ものように財布を華月に預けようとする。
人ごみは今も昔も苦手だ。
昔はそれでも許されたはずだが、今日は差し出した財布をアイツは受け取ろうとしない。
「飛翔、今日は行けませんわ。
あなたにもデパートの中まで付き合っていただかないと」
そう言うと華月は神威を連れて、建物の中へと出掛けてしまう。
そんなアイツらの後を俺は少し遅れてついてまわる。
アイツの普段着やアイツの学校で使う必要品を次々と購入していく。
次から次へと買い物を済ませて、積みあがってくる紙袋は俺の手に。
「ご当主、次は運動靴ですわね。
後はスポーツ用の練習着は大丈夫ですか?」
流石、子供を二人育ててきた華月は手慣れた感じで
次から次へと必要なものを揃えていった。
そんな時、俺の視線に入ってきたのは昨日食事を共にした塔矢。
だけど目の前で広げられる塔矢と、その連れの関係は何か違和感を感じた。
塔矢の傍に居るのは、男女の二人組。
そして塔矢の様子が震えているようにも感じて……。
俺はそのまま、動くことなく様子を見続けた。