【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中


太陽の気が、
その日一日を支えてくれるって
教えてくれたから。






今日は心機一転。
新しい職場に出掛ける出勤初日。





洗顔を終えると自分の部屋に戻って
ローションを叩き込んでいく。


吸い付くようなもち肌に変身を遂げた頃、
朝から電話が一本。


「おはよう。
 風深(かざみ)ちゃん」

「せんぱぁーい。
 ようやく学校卒業したのに……」


そうやって電話をかけてくるのは
高校時代の後輩であり、看護学校でも後輩だった
倉科風深(くらしな かざみ)。


普段はおっとりとした口調で心の中では、
ちょっぴりイラっと来てしまうタイプの
女の子なんだけど何故か私に懐いて、
高校を卒業した後も、先輩、先輩と頼ってくれる可愛いヤツ。



「だからさ、風深。
 昨日も電話で言ったでしょ。

 今日から一年、アンタはあの病院で頑張りな。

 お礼奉公しないといけないでしょ。
 その後、私みたいに離れようと思ったら鷹宮の面接を受けたらいいでしょ」


「……はい……。

 でも~、やっぱりぃ~先輩とお仕事したかったですぅ」




はいはいっ。


このままズルズル電話切れないのもマズイ。

何せ今日は出勤初日。
今度こそ、いい職場だって思える人間関係を構築するんだ。


「ごめん、風深。
 アンタもそっち頑張って。
 私も今からメイクして準備しなきゃだから電話切るね」


そのままブチっと通話停止ボタンを押して携帯を閉じると、
メイクの続きを始める。


ナチュラルな感じでありながら快活な感じの色遣いをのせていく。


全てのメイクを終えた後、ショートヘアーの髪の毛をとかして
ふんわりと、スプレーでキープさせると準備OK。

クローゼットの中から今日からの新生活の為に
新しく新調した鞄を取り出して財布や小物を移し替える。


よしっ。
準備OK。

時間は出勤時間7時15分。
車の鍵を手に取ると自分の部屋をゆっくりと出た。


「李玖、ご飯は?」

「車の中でいつものヨーグルト飲んでくよ」


っと冷蔵庫から毎日の日課になっているヨーグルトドリンクを掴んで
玄関から駐車場へと駆けだす。


去年、購入した私の相棒。


高い車は買えなかったけど今の私の精一杯。
マーチ。


可愛い丸みのあるラインがお気に入り。


車の中に乗り込ンでエンジンをかけると
今流行のJ-POPベストが流れる。

さて、行こうかっ。

シフトをドライブにいれてサイドブレーキを外すと
アクセルに足を乗せる。

ゆっくりと動き出した車はまだ通いなれない
今日からの職場へと走り出した。

< 3 / 90 >

この作品をシェア

pagetop