【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中

9.先生の身内-李玖-



目が覚めた時、私は見知らぬ部屋に居た。

私が眠ってる場所はソファー?
体には肌触りのいい布団がかけられていて、
戸惑いの中で目が覚めた。


ゆっくりとソファーから体を起こして、
体にかかっていた布団をゆっくりと畳んでいると
誰かが近づいてくる足音が聞こえた。


その声にさっきまでの記憶がよみがえって来て、
必死に落ち着かせようと何度も深呼吸を試みる。



「起きたのか?」


足音が止まって姿を見せたのは、小学生くらいの少年。


「君は?」

小さく問いかけるもその返事をせずに少年は次の言葉を紡ぐ。


「少し待ってろ。
 華月を呼ぶ」


えっ?
あの子は誰?


だけど……あの子の話し方と、
早城先生の話し方が私の中で重なって行く。



それと同時に引きづりだされる、さっきまでの記憶。



化粧品を買って、洋服を探しにフロアーに行ったときに見かけた
堺先生と清水香穂の二人。


あの二人の姿を確認した途端に、
私は目立たないように逃げようと思ったのに、
二人は段々近づいてきて、あの出来事が何もなかったみたいに
何も変わらず話かけてきた。


そこで告げられた堺先生の言葉。

八番目の彼女。



姿を見かけた時から発作を起こしかけてた私が、
その頃にはもう限界になってて、アイツが私の腕を掴んだ途端に体が震えだした。


急に息も出来なくなって動けなくなった時、
誰かが助けてくれた気がした。



自分自身を両腕で抱きしめながら一つ一つ記憶を呼び覚ましていく。


だけどその時間は、苦痛以外のなにものでもなくて
ストレスが強くかかりすぎているのか、手足が冷たくなっていくのを感じていた。




「失礼致します」



ソファの上で体育座りをして、
身を縮めて自分の体を抱きしめていた私の前に現れたのは長い黒髪の着物姿の女性。


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