【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
「李玖、準備できた?
少し早いけど、今日は母さんが送って行くから乗っていきなさい」
お母さんの職場の反対側にも関わらず、
そう言って私を少しでも安全に通勤させようと気遣ってくれる。
「うん。
ごめんね」
「何言ってんの。
ほらっ、早く準備しちゃいなさい」
お母さんの言葉に鞄を持ちあげると、アンジュを数回撫でて私は玄関から外に出て
母の車に乗り込んだ。
お母さんの車の中で、少しだけ眠ってしまう私が居た。
「李玖、ほらっ起きて。
鷹宮についたわよ。
いってらっしゃい」
肩を揺すられて目を開けると、見慣れた建物が視界に入る。
「あっ、ごめん。
眠ってた」
「いいわよ。
李玖が少しだけでも眠れたなら」
「ありがと」
「行ってらっしゃい。
無理しないのよ」
「うん。
行ってきます」
お母さんの車を降りて、病院の中へと関係者入口から入っていく。
ロッカールームに荷物を置いて、そのままナース服に袖を通すと
今日もいつもと変わらない勤務についた。
昼休み、番号を買えたにも関わらず一通のメールが携帯に届く。
携帯番号も、メールアドレスも変更したのに、まだ触っていなかったのは
ネットメールアドレス。
直接、キャリアの携帯に届くのではなくて、
ネットメールアドレスを提供しているwebサーバーにアクセスして、
メールのやりとりをする。
そのアドレスにメールが届いたことを告げる着信だった。
私にとってのサブメールアドレスだった。
*
李玖、番号変えたの? From:清水香穂<xxx_kaho@
*
香穂の名前に戸惑いながらも、私は指先が触れる決定ボタンに力を込める。
リンクされているアドレスを確定させて、ゆっくりとウェブサーバーに繋げると
IDとパスワードを打ち込んでメール内容を開いた。