【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
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今日和。元気してる、李玖。
この間はデパートでごめん。
ずっと気になってたんだ。
だけど私は逢えて嬉しかったよ。
電話してもメールしても繋がらなかったから、微かな望みをかけてこっちに連絡してる。
李玖、携帯番号もメアドも変えちゃったんだね。
私、李玖が傷つくのを知りながら許されないことをした。
だけど李玖が堺をやめて、私から離れてしまって初めて気がついたの。
私には李玖が必要なんだって。
仲直りしたい……。
ちゃんとあの時のこと、逢って謝りたいんだ。
連絡待ってます。
香穂
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今更謝りたいって何よって思ってしまう私と、
香穂に裏切られたことを知りながら、ずっと今まで過ごしてきた
香穂と綴った親友としての時間。
「もういいよ。私も気にしてないから」
っとサブメールで、短く返信するものの香穂からのメールはその後も「逢って謝らせて」っと何度も続いた。
昼休みが終わる頃、諦めるように「仕事の後、少しだけなら」っと連絡をすると、
すぐに香穂から、待ち合わせ先が送信されてきた。
待ち合わせは、笹島公園【ささじまこうえん】。
そして笹島公園で合流して、最近オープンしたばかりのパンケーキ屋さんでお茶をしようと言うものだった。
午後からの仕事も何とか乗り切って、退勤すると私はタクシーで待ち合わせの公園へと向かった。
お母さんにだけ連絡しておかなきゃ。
っと、メールで「香穂とお茶して帰ります」っと短く連絡。
私と香穂の経緯を知るお母さんは、香穂と逢うって言うだけで心配するかもしれないけど
それでも多分、お互いが歩き出すには、話し合うことも必要なんだと、不安に駆られる自分自身を必死に押し殺すように
プラスに思考回路を張り巡らせた。
「はいっ、お客さん到着しましたよ」
「有難うございます」
タクシー代の支払いを済ませて、私は待ち合わせの公園のベンチに腰掛ける。
昼間の暑さが嘘みたいに、風が涼しさを運んでくる。
世界から自分を切り取るみたいに、携帯にイヤホンを差し込んでお気に入りの音楽に身を委ねていると
正面にはデパートで会った以来の香穂が立っていた。
「香穂……」
イヤホンを外して立ち上がった途端、
背後から力強い腕に羽交い絞めにされながら、私は口元に何かを当てられた。
甘い匂いを感じながら、私の意識は遠のいていった。