【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
目が覚めた場所は、真っ暗な暗闇。
そして私は、どうならコンクリートの上に転がされている見たいだった。
口に加えさせられたロープとタオル。
手足を縛りつけている縄。
そしてアイマスクか何かで目隠しをさせられているのを感じた。
耳を済ませると、お茶をするはずだった香穂の声が信じられない言葉を告げる。
『早くアイツを壊して。
アンタたちにはもう前金は支払ってるでしょ。
あの子が壊れていくさまを私は楽しめたらいいのよ』
そう言って香穂が大声で何かを話してた。
謝りたいんじゃなかったの?
昼間はあんなにも、神妙に連絡してきてたのに……私は騙されたの?
私を壊してって、私が壊れていくのを見てたいだけ。
そう言って笑ってた香穂に、不気味な恐怖を感じる。
香穂は完全にイカレテル。
ここに居たらダメ。
何されるかわからない。
逃げなきゃ。
縄でくくられて自分の思いのままにならない手足。
だけど何とかして、縄を解いてこの場所から逃げ出さなきゃ。
そんな思いで必死に体を動かした時、
私の足は四角っぽい何かにあたって、ガラガラと音をたてて床に何かが落ちる。
その何かの幾つかが、私の体に落ちてきたのも感じられた。
「アンタ、起きてたのね。
あぁ、お楽しみの前にこんなに暴れてさ。
逃げられると思ってるの」
一際鋭くなった香穂の声が聞こえた途端、
私の頬に、薄らの先のとがった切っ先があてられるのを感じた。
思わず委縮する体。
「香穂、やめて……。
なんでこんなことするの?
私が香穂に何やったのよ」
そう……私が香穂に何をやったの?
ずっと引っかかり続けていた謎。
看護学校で出逢ってから、ずっとて仲良く親友をしてきたはずの香穂。
看護学校を卒業して堺記念病院にお礼奉公で働き出した。
看護師の中で人気だったのが、その病院の若先生である堺先生。
恋も何も経験したことがなかった私が、
恋に目覚めたふりをして、疑似恋愛を楽しんだ。
まるで二次元キャラに恋をするように。
恋をしている振りをしないと、取り残されてしまった気がするから。
恋をしたふりをするのに、若先生は最適だった。
私が若先生に求められることなんてない。
すでに若先生の周囲には、何人もの彼女さんたちが取り囲んでいるから。
だけどそんな相談を、看護師仲間でお茶をしてる時に触れた途端、
香穂の態度は変化を見せ始めた。
私が片想いをしているはずの、堺先生にちょっかいをかけるようになった。
「李玖、アンタが片想いしてる先生は、やめとく方がいいよ。
六股かけてるのに、私にまで気があるのか、昨日デートに誘われてホテルコース。
まっ、やり慣れてるのか、あっち方面は上手かったわよ。
機会があったら、李玖も憧れの君に抱いて貰えば?」
そんな風に堺先生との関係を言うようにもなってきた。