【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中



だけど私にとっては、どうでもいい。


堺先生は、二次元キャラと同じ。
周囲に取り残されないために、恋してるふりが必要だっただけ。



だけど……そんな風に受け取って貰えないのは、
香穂があることないこと吹聴してまわったから。




本当の恋も知らないのに、
誰かを好きになることなんて出来るはずがないじゃない。


なのに……それでも、12月のあの事件はショックだった。



忘年会の後、2次会・3次会と続けてお酒に潰れて次から次へと落ちてしまった参加者。
そして目が覚めた時、私のすく傍で……堺先生は香穂を含んだ数人の看護師たちと体を重ねていた。


乱れあうその輪の中に若先生は私にも「一緒に抱いてあげるよ。塔矢くん君は僕に抱かれたかったんだろう」。



そして私は……身に着けていた洋服を裂かれて、その輪の中に連れ込まれた。
その後は、覚えていない。



とつぜん過ぎる出来事に、その時の出来事は思いだせないでいた。





「李玖、貴方に恐怖を沢山あげるわ。
 李玖と一緒に過ごすたびに、私は貴方を守るために汚れていった。

 堺が好きですって?あんな男の何処がいいのよ。
 李玖の傍にはずっと私が居たのに……。

 アンタが悪いのよ。
 アンタが私じゃない誰かに心を向けるから。

 だから貴方の為に、私が奪ってあげたの。

 アンタは私が輝く為の道具。
 何時だって道具でしょ。

 私を輝かせてくれる道具が、自ら輝こうとするなんて許せないの」




えっ?
何?


突然の意味不明な会話に、私は戸惑いを隠せない。




何?
ずっと親友だと思ってたのに、香穂は違ってたの?




だけど香穂の言葉は、複雑すぎて……私に恋してる……風にもとれる気がする。


えっ?
同性愛?





突然浮かび上がったキーワードに、フルフルと首を横に振って考えないようにする。







「何してるの?
 まだ誰かのことを考えてる?

 堺が排除できたと思ったら、アンタはまた次の病院ですぐに早城って言う恋人を作ってる。

 私がこんなにも苦しい想いをしてるのに。
 だから早城も手にかけたいって思った。

 李玖に近づく存在は、全て消してあげたいって」



香穂、アンタ……早城先生に何したのよ。
ったく、問題ばかり起こして。




「大丈夫。
 あの人ももうすぐ、私のものになるわ。

 誰も李玖を愛する人なんていない。
 李玖を好きにしていいのは、私だけだもの」



相変わらず意味不明なことばかり並べながら、
香穂が私の頬の付近で、刃物らしきものをなぞる様に動かす。

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