【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
「あっ、先生方、今日からのナースで塔矢李玖さん」
「塔矢さん、こちら順番に……。
城山先生。
安田先生。
蓮井先生。
若杉先生。
後は千尋先生。千尋先生は院長先生の息子さんよ。
で……あっ、来た来た。
ER明けにごめんなさいね」
そう声をかけてもう一人のドクターを招き入れる。
「こちらが早城先生。
早城先生、今日からの塔矢さんよ。
宜しくね」
「塔矢さん、他にも先生方はいるんだけど
そちらはおいおいね。
精神科設立の為に、
今も後期研修に行かれてる先生も居るから」
水谷さんの説明に頷きながらも、
耳に入ってくる会話はもはや堅苦しい朝礼の雰囲気はない。
前の病院は看護師より医者の方が偉くて、
こんな感じで砕けて話すことなんてなかった。
一番びっくりしたのが、
朝のナース同士の申し送りにドクターが顔出すなんて……。
「どうぞ」
なんて紙袋から取り出したのは小さな袋に入ったお菓子。
「あっ、有難うございます」
無意識のうちに受け取って手渡されたのは、
マフィンと、クッキー。
「若杉先生、いつも有難うございます。
休憩の時に頂きますね」
なんて……次から次へと、お菓子を頂いた看護師たちは
その先生に言葉を切り返していく。
「まぁ、若杉先生。
美味しそう。
いつも素敵な差し入れ有難う。
先生のお手作りお菓子美味しいから、
つい食べ過ぎちゃうのよね。
またダイエットしなくちゃ」
なんて……水谷さんまで普通に砕けて会話してるよ。
「あっ、塔矢さんびっくりしてる?
若杉先生は、いつも手作りでお菓子を作られて
こうやって私たちに差し入れしてくれるの。
若杉先生の隣にいるのが蓮井先生ね。
すごく人当たりが柔らかい先生なのよ。
とっても話しやすいのよ。
蓮井先生の隣が、安田先生。
ウチのアイドル筆頭かな。
っと言っても、子供とおじいちゃん・おばあちゃんに
大人気な存在。
安田先生の隣が、千尋先生。
他の同期の先生たちに隠れて、目立ったところもないけど、
処置の丁寧さと、レベルの高さには好評があるの。
その隣は、城山先生。
この先生たちにとっては、逆らえないかも。
笑った顔が素敵で笑顔で関わった人を瞬殺するキラー。
まぁ、一度でいいから瞬殺されてみるといいわよ。
で最後、遅れてきたのが
早城先生。
ほら、見て。
あそこも、あそこもあそこも……。
視線、捉えてるでしょ。
あの人たち、
早城先生の親衛隊メンバーだから。
目をつけられないようにね。
容赦ないから。
ちなみに早城先生は、
自分にも厳しいけど、相手にも厳しい。
先生の処置の先をよんで
行動しなきゃ、無き者として扱われる」
ひそひそとここに居るドクターたちの
特徴を教えてくれる。
親衛隊って……芸能人じゃないんだから。