【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
17.プラトニックな優しさ -李玖-
朝、昨晩用意された新しい部屋で目が覚める。
病院の寮としても借りているマンションは、
手荷物だけでも生活できるようにベッドや家具などは備え付けられていた。
「李玖、起きてる?」
ノック音の後、ドアが開いてお母さんの声が聞こえた。
「うん。
今、起きた」
「7時に早城さんが迎えに来てくれるんでしょ。
ほらっ、早く支度しちゃいなさい」
ベッドから起き出して、お母さんの方へと歩いていく。
「お母さん……ごめんなさい。
なんか、いろいろと迷惑かけちゃって。
このマンションで生活するようになって、
お母さんの職場も遠くなっちゃったでしょ」
「そんなこと、李玖が気にしなくても大丈夫よ。
車で行けばすぐだわ」
そう言ってお母さんは、私をぎゅっと抱きしめた。
「ほらっ、朝の時間は貴重よ。
すぐに準備しちゃいなさい」
そう言うとお母さんは私の部屋を出て行った。
スーツケースの中に詰められていたらしい洋服は、
備え付けのクローゼットにハンガーで吊るされていた。
その中から洋服を選んで身に着けると、
洗面所にメイクポーチを持って向かって朝のメイクを行う。
今日から新しい朝が始まる。
ちゃんと、また歩き出さなきゃ。
朝のワイドショーを見ながら、出勤準備をしていると
何時の間にかTVのワイドショーの時刻が7時を表示する。
それと同時に小さく鳴り響く、電話をコール。
「はいっ。塔矢です」
お母さんが壁際のインターホンの近くにセットされているボタンを押すと、
モニターには制服を身にまとった人が、お辞儀をして用件を告げる。
「おはようございます。
エントランス前に、鷹宮総合病院の早城さまがお迎えにいらしています」
「わかりました。
有難うございます」
お母さんは手短に答えると、
ボタンを押している指を話して私の方に視線を向ける。