【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
そんなことを考えてると、次第に鼓動がバクバクと早くなって
隣に運転している先生のことが気になって仕方かない。
チラリと視線を向けると、そこには車を運転する先生の横顔が当然の様に存在する。
「そうか。
今日は検査の後、仕事はするのか?」
「それは先生たちの判断になると思います。
私的には、もう仕事したいんですけど」
そう、とっとと忘れるように仕事をして
いつもの日常を取り戻したい。
じゃないと私の空は何時までも晴れない気がして。
ずっと信じていた専門学校時代の親友だった清水香穂。
香穂との関係の何処で、拗れちゃったんだろう。
どれだけ考えても、答えなんて見つけられない。
だけど一つだけ入れるのは、
今はあの頃と比べて二人の歩くべき道は、姿を変えてしまって
その中で私と香穂の道は交わらなくなったってこと。
「一人だと、ろくなこと考えないか?」
ただ黙ったまま、一人思考をグルグル張り巡らせていると
線背は優しく告げる。
その問いかけに、私は小さく頷いた。
「傍に居る」
「えっ?」
あっと言う間に車は病院内の所定の駐車場へと停められていて、
先生の顔が私の正面にアップで見えて。
バクバクする鼓動に、どうしていいかわからない。
えっ今……私先生に何を言われたの?
そっ、傍にいる?
何かそんな言葉が聞こえた気がする。
「俺の連絡先だ。
電話に登録しておいてくれ」
その後、固まってしまっていた私に、
先生は1枚のカードを手渡す。
そこには先生の電話番号とメールアドレスが記入されていた。
じっくりと見つめながら、指先で先生の文字を辿る。
点字じゃないから、そんな指先で辿らなくてもいいはずなのに、
私は先生の筆跡を指先で触れながらドキドキしてた。
カードを手渡すと先生は運転席から降りて助手席側へと回り込む。
あっ、私も早く降りる準備しなきゃ。
慌てて手荷物をまとめて助手席のドアを開けると、
立ち上がろうとして突如、貧血に近い状態になって倒れそうになる。
そんな私の体を抱きとめてくれて、ゆっくりと立ち上がらせてくれる早城先生。
「……すいません」
「気にするな。
帰りも送る。終わったら俺宛に連絡を」
その後は関係者入口まで共に向かうと、それぞれの場所へと移動した。
先生が向かうのは医局。
私が最初に向かうのは、総師長の部屋。
「あっ、塔矢さん。
ようやく出勤?大変だったわね」
次から次へとナース服を着た同僚や、事務服の女の子から声をかけられる。
「おはようございます。
ご迷惑おかけしました」
っと社交辞令の様に挨拶を繰り返して、辿り着いた総師長室。
「おはようございます。塔矢です」
ノックをして中からの声を確認した後、ゆっくりとドアを開けて室内へと入る。
「おはようございます。塔矢さん。
早城先生は?」
「えっと、病院まで送り続けてくださって今は医局へと行かれました」
「そう。
どうぞ、こちらにいらして」
誘導されるままソファ-へと腰を下ろす。
そしてそのまま、水谷さんはデスクの上の電話で何処かへと連絡する。