【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中

2.仕事をしろ!! - 飛翔 -



「嵩継さん、次病棟回診行きます」

「おぉ。
 後でオレも顔出すわ」

ノーパソを抱えて順番に病棟に顔を出す。

外科病棟を巡回しているのは、
俺、早城飛翔(はやしろ ひしょう)。

鷹宮に勤めだして今年で3年目。

まだ2年間の研修期間が終わったばかりだ。


現在、鷹宮のシステムに従って希望に出した外科配属の人員として
後期研修にはいったばかり。


「早城先生、回診介助入ります」


そう言ってステーションから顔を出すのは二人の看護師。

医療ミスをなくすための独自システム。

ベテランと新人。
二人が一組となって看護師は仕事を行っている。


よりによって……久徳(きゅうとく)さんと五木(いつき)チーム。


この病院の看護師たちのドンとも言える院長が一目置いている、
水谷さんと親しい、久徳さん。


五木がミスることもないだろう。


「お願いします」


カートを押しながらついてくる新人の五木。


その隣をすれ違う患者さんたちに話しかけながら、
余裕の貫録でゆったりと無駄なく歩く久徳さん。


目的の病室に辿り着くとドアを軽くノックして顔を出す。


「こんにちは。
 病棟回診の時間です」


要件を淡々と述べて病室に入ったところで久徳さんが
俺を無言で睨む。


「こんにちは。
 今日はどうですか?

 朝、手術の傷口が痛いって言ってましたねー。
 先生来てくれたのでちょっと確認しますねー」


隣で患者さんに説明しながらテキパキと動いていく。

五木が開いたノーパソを覗き込む。

そこには、朝からこの時間までの看護師たちが仕入れた
患者さんの言葉や行動が一言一句記載されている。


それをふまえて傷口の状態を確認して消毒をする。
そうこうしている間に追いついてきた嵩継さんが顔を出す。



「おぉ、こんにちは。
 やっぱりまだ痛むか?川端のじいちゃん」


顔を出して俺の隣に立つだけで患者さんの表情が
明るくなっていく。

隣に居る久徳さんの表情も和らぐ。


やっぱ、この人にはかなわないなーなんて内心思いながら、
処置だけ手早く済ませて次の患者の方へと移動しようとしたとき、
嵩継さんが俺の動きを手で合図して止めた。



「おいっ早城、早すぎんだろ。

 まだやることあるぞー」


そう言いながら俺を招きよせる。


その場に留まることを要求させれた俺は、
苦手なコミュニケーションを徹底的にさせられる羽目になる。


四人のスタッフで回診を終えた頃には精神的にぐったり。
これからオペ助手に入ってる方が楽かもしれない。


それほどに精神的に疲れてしまっていた。

途中で嵩継さんと離れて医局へと戻る。

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