【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
その場所に到着すると店内から責任者らしき人が、
入り口前まで出迎えに姿を見せる。
「いらっしゃいませ。早城さま。
あの、失礼ですがお客様は先日当店でご予約頂いた方ではありませんか?
早城さまとの同席で……」
「はい。
塔矢と申します」
そう言って私は小さくお辞儀をする。
「お待ちしておりました。
早城さま、何時ものお部屋にご案内いたします」
続いて奥から姿を見せた女性は丁寧にお辞儀をして
店内へと私たちを案内した。
エレベータで最上階へと案内されると、
天井にはプラネタリウムのような仕掛けが施された空間を歩いて、
奥の一室へと通された。
その部屋の窓から見上げる景色は夜のネオンに輝いて見える。
「それでは順に運ばせて頂きます」
っとお辞儀をして係りの人は姿を消した。
「先生、この店……」
「この間は話せなかった。
ここはうちの一族が経営している店だ」
そう言って先生はサラリと告げた。
うちの一族?
こんなお店を経営してしまう一族に生まれてお医者様をしてる先生。
確か、あのデパートでもそんなこと言ってた気がする。
「失礼いたします」
外から声が聞こえてテーブルへと料理が運ばれてきた。
最初に運ばれてきたのは、アンティパスト。
俗にいう前菜料理。
お肉の赤・チーズの黄色・野菜の三食で彩られた品物で
少し刺激的な味覚。
その次に運ばれるのは、プリモ・ピアッド。
パスタ料理。
そして続くセコンド・ピアット。
肉料理か魚料理のどちらを選ぶのか選択が入る。
その時、肉なら赤ワイン・魚なら白ワインとお酒が変わってくる。
つづくのはお肉で酸性に傾いた血液を戻すため、アルカリ系のサラダが運ばれる。
そしてチーズ。
メイン料理の時に飲んだワインが程よくまわりはじめた頃、
最後に甘いデザートが運ばれてきた。
あの時は味なんてほとんどわからなかったけど、
今日の料理は本当に美味しくて、本当に夢見たいだった。
最後にエスプレッソを頂く。
イタリア料理において、最後のしめにカプチーノを注文するのは
『満足しませんでした』っと言う別の意味合いがあることを今日初めて知った。
少し苦めのエスプレッソで、酔いを醒ましバランスを保つと同時に
胃液の分泌を促す役割があるらしい。
全ての料理を頂くと、先生は担当店員を呼び出してあのブラックカードをサラリと手渡す。