イケメン変人達に好かれると厄介です
「ちょっ、アラタさん?!」

「ぅゎぁ……、アラタ凄い…ね?」

リイさんが、感嘆を漏らした。……って、それどころじゃないよね?!

「あっ、アラタさん。……だっ、大丈夫ですか?!」

私は、開いたままの自動ドアを通ってアラタさんの所まで近寄る。

「大丈夫だ!リイに殺される位ならコレくらい楽勝だ!」

アラタさんは、凄い笑顔で立ち上がった。……と、思ったら。アラタさんは、バランスを崩して私の前に倒れ掛ける。ビックリした私は、反射的にアラタさんの体を受け止めた。

「……ぅゎっ……。……大丈夫ですか?」

「…………っ。どうすれば良い……。僕は…、足を捻ったみたいだ……」

「どっ、どうするんですか?!」

私は、アラタさんから少し離れて。アラタさんの足を見る。多分、右足…。ちょっと震えてる…。

「優の家に泊まる……」

耳元で、アラタさんが落ち込んだ口調で冗談を言った。

「それはダメです」

「優を誘拐して、僕の家に連れて帰る……」

「もっとダメです。……はぁ、タクシー呼びます。もう帰った方が良いですよ?」

休憩室にある、救急箱には確か湿布は無かった……。……だから、家に帰って自分で手当してもらわないと……。怪我が悪化してしまう……。

「…嫌だ」

「だって、足を捻ったんですよね?」

「…嫌だ」

「アラタさん、子供じゃないんですから…」

「…嫌だ」

アラタさんは、子供が駄々こねる感じで、嫌だ…嫌だ。……と、私の言う事を聞かない。

「はぁ……」

「…嫌だ」

「私、今、一言も話してませんよ?!」

「…嫌だ」

「……………」

「…嫌と言ったら嫌だ」

「アラタさん、耳鼻科行きましょう?」

「…嫌だ」

「私の家に泊まりますか?」

「…いゃっ……。良いのかっ!?」

アラタさんは、嫌だと、言いかけて。直ぐに、私が言った事を理解したのか声が明るくなった。

「ダメです。アラタさんが、何も話さないから、引っ掛けたダケです」

「お前は、いつから、そんな汚い奴に……」

「汚くてスイマセンでしたね……」

「でも、そんな優も好きだぞ!」

「……ありがとうございます……。って、アラタさん。…早く帰って下さい。怪我が悪化しますよ…?」

「嫌だーーーーーーーー!!!!!」

私の耳元で、アラタさんが大声で叫んだ。私の耳はキーンと耳鳴りが鳴った。

「耳元で、叫ばないで下さい!!!」

「僕は、帰りたくないんだ!!!」

「ダメです!!帰って下さい!!」

「お前は、嫌だと言っているか弱き人間に!!何故そんな残酷な事が言えるんだ!!」

「か弱かったら、そんな大きな声は出ませんから!!」

「出るぞ!!僕は、どんなに弱っていても出るぞ!!」

「そんな事は、関係ありませんから!早く、帰って下さい!そして、自分でちゃんと怪我の手当てをして下さい!!」

私が、怒ってるとコンビニの前にタクシーが止まった。
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