イケメン変人達に好かれると厄介です
「先生が、何か誤解してますね」

「おぉ!原野優も、俺の意見に賛成だよな!流石、俺の嫁!」

「………はぁ」

やっぱり、コイツには話が通じない……。残念だ。……って、期待は最初からしてないけど……。

「おい!原野優!溜め息を吐くと、幸せが逃げるぞ!早く吸え!さっき吐き出した、幸せを吸え!」

南粋タキトが、周りの空気を馬鹿みたいに。有り得る訳ないのに……、集めていた。……と、言うより手をパタパタしてた……。周りの人から見たら、そんな感じに見えるだろう。

「逃げるような幸せは、有りませんから…」

「じゃあ、俺が貰うからな!」

「ご勝手に……」

南粋タキトは、パクパクと空気(南粋タクトにとっては、幸せの塊)を口の中に詰め込んでいた。

……一体、この人は何をしたいのだろうか……。……何故、この人は教師として合格したのだろうか……。面接は、ちゃんとしたのだろうか……。

そもそも、何故。私に突っかかってくるのだろうか……。疑問ばかり、浮かぶのだ……。

「ぷはぁ……。幸せで、お腹いっぱいだ!御馳走様だ!原野優!」

「それは、それは良かったですね……」

「今度、俺の幸せを与えてやる!」

いらねぇ……。

「遠慮しておきます」

「じゃあ、今度、俺の気持ちを与えてやる!」

キメぇ……。

「遠慮しておきます」

「……ぬぬっ。今度、俺の合い鍵を与えてやる!」

迷惑ぅ……。

「遠慮しておきます」

「なっ……。今度、俺の愛を与えてやる!」

ウゼェ……。

「遠慮しておきます」

「ちょっ……。今度、俺自身を与えてやる!」

死ねぇ……。

「嫌です。遠慮しておきます」

「原野優!お前は、俺に何を望んでいる!」

「ちょっと黙っててもらうと、嬉しいです」

「ちょっととは、どの位だ!」

「地球が破滅するまで、です」

ニコニコと、南粋タキトに微笑みかける。

「それは具体的に、どの位だ!」

「先生が消える時までで、大丈夫です」

「俺は、一体いつ消える!」

「お望みなら、今消えれますよ?」

「どうやってだ!」

「私が、殺します」

私は、この世で一番穏やかだと錯覚できる位に。優しく微笑んだ。

「痛いのは、嫌だぞ!」

「一瞬で殺れるように努力します」

「どうせなら、お前は勉強の方に力をいれて努力してもらいたいな!」

南粋タキトが、私に勝ち誇ったみたいに口角を上げた。私は、うっ……と小さい声が漏れた。

「お前、3ギリギリの点数だろ!去年も!」

「うっ……」

「優っ、そんなに頭が悪かったのか?!」

アラタさんが、私の耳元で。また叫んだ。

「意外だ…ね?」

リイさんが、タクシーをチラチラ見ながら呟いた。

「先輩に、勉強教えてもらえば良いのに?先輩、頭良いから」

リンさんが、苦笑いしながら私の頭を撫でた。
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