イケメン変人達に好かれると厄介です

第四章

ついに、地獄の勉強会がやってきた

『原野優ー、補習だぞー』

『いっ、嫌です！』

南粋タキトが、ニヤニヤしながら大量のプリントを私の方に持ってきて走ってくる。

私は、それから逃げるため必死に走っても走っても走っても続く廊下を走る。

『期末テストが、全教科０点とは、どういう事だー！』

『ごっ、ごめ…』

「ごめんなさいーー！！！」

バッと、起き上がる私の事を、変な目で見てくるクラスメート達。レンなんか、ビックリしすぎて、目が丸くなっている。

「どうした！原野。何したんだ？」

古文の先生が、私の事をジロリと見てくる。

「ぃ、いえ。なんでも…ありません…。すいませんでした……」

……そうか……。あれは、夢か……。古文の授業中に居眠りした私は。期末テストの事を考えすぎて、あんな夢を見てしまった……。

ていうか、居眠りするなら授業受けろって感じですよね……。はい、私が一番分かっています……。そんなに、責めないで下さい……。

「で、この『なりけるに』は───」

もう、呪文ですよね…。古文って。

ていうか、古文を日常で使いませんよね？今の日本人が昔の言葉で日常会話を話してるのを私は見たことありませんよ？

なのに、古文を勉強する必要とか、あるんですか？無いですよね？

仮に、あったとしてですよ？……何に、使うんですか？宇宙人と(いるとは思いませんが…)、交信する為とかですか？

……………。こんな事考えれる暇あるなら、古文を理解しろとか、言うの酷いです……。もう、勉強大嫌いです……！！！

「じゃあ、今度、古文の小テストなー。ちゃんと勉強しとけよー」

「「「はーい」」」

いつものように、チャイムが鳴る。この音を、聞いて私は鞄に教科書をいれてレン達の所に向かった。

「レンってさ、……今日、勉強会とか出来る？」

「んー？出来るよー？もしかして、今日勉強会したいの？」

「まぁ、そうなんだけど……。で、まぁ……。レンさ、私の知り合いなんだけど……。知らない頭の良い大人の男の人達と、勉強会一緒にしたいって言ったらＯＫしてくれる？」

「んー？別に良いよ？どんな人達なの？」

うっ……。どんな人達…？そんな、ハッキリ変人とは、言えないし…。

「えっと、ね……。個性的で、本当に大人？って思うくらい、変人で…バカで…変態で…。いつも、一緒に話す度溜め息が出る…。本当に、大変…」

「へぇ………」

「でも、たまに私自身の悪い所や良い所を気付かせてくれて…。そう言う時は、大人の人って感じで…。…あぁ、私ってつくづく子供だなって分かる…」

「要するに…。変人バカ変態だけど、良い人達って事でしょ？」

「………、そうなの？」

「えっ？」

「えっ？」

私達の間に、変な空気が流れる。

「まっ、まぁ良いや。で？どこで、勉強会するの？」

レンが、立ち上がって鞄を肩にかけた。

「私の家って、もう伝えたんだ」

「そっか。じゃあ、このまま、優の家行こっか？カナと、チカも呼んで」

「うん！ありがとう、レン」

「いーえ、いーえ」

ニッコリレンが、可愛い笑顔で微笑んだ。そしてカナと、チカを呼んだ。

「「勉強会？」」

「そう。勉強会！お願い！今日勉強会しない？」

「優の知り合いの、頭の良い男の大人の人達もいるんだって」

「どんな人？」

チカが、聞いてきた。私は、さっきレンにした説明を言おうとしたら…。

「変人バカ変態だけど、良い人達だって」

「そうなの？……まぁ、それはどうでも良いけど！！じゃあ、優家行こー！！！」

「「行こー！行こー！」」

「うん」

有る意味、勉強会という地獄の始まりだと、この時の私は知らなかった(地獄にしては、酷すぎた)。