イケメン変人達に好かれると厄介です
「「「お邪魔しまーす!!!」」」

「お邪魔します」

「お邪魔するぞー」

「お邪魔し…ます?」

「お邪魔されます」

「「「……………」」」

「どうぞ。二階に上がって、ドアに私の名前が書いてあるので、そこの部屋に入ってて下さい。その部屋以外入らないで下さい。お兄ちゃんの仕事のデータや、両親との思い出があるんです。……入って何かあったら、……。分かってますよね?」

ニコッと微笑んで、私はキッチンに向かった。後ろで、レンのすすり泣きが聞こえたが知らないふりをする。

「レン達は、お茶で。リンさん達は、コーヒーで良いかな……」

私は、お茶とコーヒーをお盆に乗っけて二階に上がって自分の部屋の前に立つ。そして数秒間深呼吸する。

何故かって?……部屋の中が、もの凄くうるさい=何か問題や事件。それか……、ただ単に騒いでるだけか……。

「なっ!!何出してるのさ!アラタ、早くしまいなって!優さんに、バレたら怒られるって!!」

「ぃ、いや!ワザとじゃないぞ!タンスを適当に開けたら入ってたってだけで!!!」

「アラタの変態…、死んでしまえ…、早くしまって…よ?」

ガチャッと、部屋のドアを恐る恐る開ける。凄い素早く何かを隠したアラタさん。私は、お茶とコーヒーを一人一人に配った。

さっきとは、まるで真逆の静さ。私は、少し不思議に思ってレン達とリンさん達を見回す。

正座をしてるレン達と視線をわざとらしくそらしてるリンさん。口笛を吹いているアラタさん。顔を真っ赤にしてるリイさんがいた。

「何かあったんですか?」

私の問いかけに分かりやすく肩をビクつかせる変人集団。

「なっ、何も!!」

リンさんが、両手をブンブン横に振る。

「そっ、そうだぞ!勝手に疑うな!」

アラタさんが、机を軽くバンッと叩いた。

「何も疑っていませんが?……何かあったんですね。何があったか教えて下さい。怒りませんから」

疑ってもいないのに、疑うなと私に慌てながら言うって事は…。疑われるような事をした、という事。

「ぃや、本当に何もなかった…よ?」

「本当ですか……?嘘だった場合……」

ニコニコ私は、リンさん達に笑顔を向けた。リンさん達は、完璧に何かあったような表情をしていた。

「うっ、嘘じゃないぞ!」

「そうですか…。カナ、チカ、レン……。何があったのかな?私に教えてくれる?」

ニコニコ私は、別人のように微笑む私。

「ぇっ、えっと……」

苦笑いしながら、タンスをチラチラ見るカナ。

「何もなかったような……」

アハハッと、わざとらしく笑うチカ。

「………ゆっ、優の下っ…むぐっ………」

何かを言いかけたレンの口を塞いだチカ。

「ちょっとね、優がいない間に下ネタを話してただけですから……。はい……」

チカが敬語=嘘。ですから。私は、カナの隣にゆっくり座って笑顔で言う。

「何かあったのか教えてくれるよね?カナちゃん」

「ひぅっ………」

泣きそうになってるカナ。私は、それに追い討ちをかけるように質問をぶつけていく。
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