恋するplants
恋するCherry

通学電車3分間の恋



 「次は○○駅~、○○駅~」


 午前8時4分。


 車内アナウンスが聞こえ、少しの緊張が私を襲ってくる。


 周りを見渡せば制服姿の学生だらけで、知っている制服も知らない制服も、たくさんの学生を運んで今日も電車は走っている。


 進行方向に向かって前から2両目の車両、右側2つ目のドア、いつもの場所をキープすると食い入るように外を眺める。


 午前8時5分ジャスト。


 電車は定刻どおりに○○駅に停車した。

  
 「この電車は快速の通過待ちのため当駅にて3分程、停車いたします。お急ぎのお客様にはご迷惑を・・・」


 ブシューと音を鳴らして、電車の扉が開くと制服を着た学生たちがどっと降りる。


 波に飲まれないように手すりにしっかりと掴まって、じっと耐える。


 降りる学生を見送りながら、私は駅の反対側のプラットホームを眺める。


 紺色のブレーザーに白と黒の市松模様(いちまつもよう)のズボン、エンジ色のタイ・・・同じ制服を着ている学生の中からたった1人を探す。


 「いた。ちえりの王子様」


 隣に立っていた親友のゆかりが先に彼を発見したようだ。


 どこどこ?とゆかりの人差し指を追う。


 「いた~!」


 思わず声を出してはしゃいでしまう。


 私の王子様は今日も反対側のホームで電車を待っている。

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