恋するplants


 ★


 シャワーで汗を流して、制服に着替え居間へ降りていった。


 掘りごたつのテーブルの上に朝ごはんが用意されている。


 「芹、おはよう。今、お味噌汁とごはんよそうからね」


 祖母がにこにこしながら台所から顔を出した。


 俺は掘りごたつに入り、テレビをつけた。


 鮭の塩焼きに大葉入りの玉子焼き、金平ごぼうにカブの浅漬け。


 祖母が作る和食が中心の料理はとてもおいしい。


 ダイエット後、極度の拒食症になってしまった俺に祖母は毎日、工夫を
こらしてメニューを考えてくれていた。


 拒食症を克服した今、こうして祖母の料理を味わえることが素直に嬉しい。


 テーブルの上を見ると朝ごはんは2人分、どうやら父も母もすでに会社に向かった後らしい。


 「今日はいつもより戻るのが遅かったね」


 「うん、今日はジョギングを兼ねて、爺ちゃんの墓参りに行ってきたんだ」


 そう、と相槌を打ちながら祖母は俺にご飯と味噌汁を手渡す。


 いただきますと祖母と向かい合って箸を取る。


 まず豆腐とワカメの味噌汁に口をつける。


 化学調味料を使わずにカツオ節と昆布で出汁を取る祖母の味噌汁は完璧だ。

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