恋するplants


 「爺ちゃんは知ってたよ。芹は優しい子だから、たまに病室に来る時は泣き腫らした瞼をして、でも爺ちゃんの前では笑ってたね。俺がこんなことにならなければもっと芹の成長見届ることができたのにってよく言ってた。ずっと書道を続けてほしいって」


 祖母が皺くちゃな手を俺の手の上に重ねた。


 祖母よりだいぶ大きくなった今では祖母の手がかわいく見える。


 「芹、ありがとう。また書道を始めてくれて。爺ちゃんも天国で喜んでるよ」


 祖母がにこりと微笑むと体の中に暖かいもの巡った。


 ・・・やばい、昨日の夜から涙腺がおかしいみたいだ。


 ずりずり鼻をすすりながら泣くと祖母がティッシュ箱を俺に渡して、


 「相変わらず、泣き虫芹くんなんだから」
 

 と笑い声をあげた。




 ★




 昼休み、教室で祖母の作った弁当を広げていると、仲のいい小石川(こいしかわ)が片手に購買部で買ってきた弁当を持って、俺の前の席の椅子を引いた。


 「芹の弁当はOLが食う弁当みたいだな~五穀米っていうんだっけ?それ」

 
 小石川は俺のちらりと弁当を覗くと、いただきと弁当の中の豆腐ハンバーグをつまみ食いした。


 うまい!と小石川は満足顔だ。


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