恋するplants
「そうじゃなくて、何であんたがここに来たのよ。・・・私の事、嫌いになったんじゃないの?」
ナズナは気まずそうに食べかけの弁当を床に置いた。
相変わらず、視線は逸らしたままだ。
「小石川から噂のこと聞いた・・・ごめん・・・学校祭から気まずくてナズナのこと見ないようにしてたんだ。・・・だから、ナズナが辛い目にあってること気付かなくて・・・」
「嘘、本当はいい気味だって思ってるんでしょ?いつもニコニコして八方美人の化けの皮が外れて・・・こんな仕打ち・・・当然だと思ってるんでしょ?」
最後は涙声になりながらナズナは訴えた。
ナズナは自分が可愛いことを知っている、だからそんな自分を持てはやしてくれる人たちに愛想を振りまき生きてきた。
本性を隠して、そんな生き方辛いだけなのに・・・ナズナは素直になることよりも可愛くて人気者の虚像を作ることに必死だったのだ。
「ナズナ・・・俺は可愛いナズナちゃんの仮面をかぶったナズナよりこうして地を出して泣いているナズナの方が好きだよ。化けの皮が剥がれたってまた1からやり直せばいいじゃないか、今度は本当の自分を出して」
俺は体をナズナの方に向けて、彼女の頭を撫でた。
ナズナは上目遣いに俺を見た。
「・・・無理よ、完全にクラスの女子から無視されてるもん・・・他に友達いないもん・・・」
自信のない弱弱しいナズナの表情を初めてみた。
昔の自分を見てるようで切ない。
「友達なら俺がいるじゃん。・・・ナズナがよもぎくんの彼女になれなかったらそれって無効なの?」
そう訊ねるとナズナは首を横に振った。