恋するplants


 「型にはまりすぎてるっていうか、キレイにかこうって考えすぎなのかなぁ・・・」


 「うん。私も柊さんと同意見だ。白根くんの字ははね、とめ、はらい、基本の動きはお手本に出来るくらいキレイだ。でも、もっとのびのびとかいてもいいんじゃないかな?」


 鼻の下のオヒゲを整えながら先生が言う。


 「白根くん、かくとき上手くかこうとせずに、頭を空っぽにしてかいてみたら?」


 「・・・からっぽですか?」


 確かにさっき俺は上手くかこうって思いながらかいていた。それじゃダメなのか?


 「丸太さんのダイナミックさと白根くんの丁寧さ、2人を足して割ったら素晴らしい書になると思うな」


 先生はまたフフフと笑った。


 丸太さんの書にあって俺の書にないもの・・・俺はホワイトボードに貼られた「焼肉」の文字をじっと見つめた。




 ★



 2月に入り、日々、最低気温を更新する寒さの中、放課後、書道部の面々は校庭に集まった。


 パフォーマンス書道は大きな紙の上で大きな筆を持って動き回る。


 スタミナ勝負だという柊部長の意見でこれから俺たちは体力をつける
ために書をかく前に走ることになったのだ。


 運動部に混じってトラックを走り始める。


 柊部長は運動神経がいいのか先頭を切って走っている。

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