恋するplants
一応、サビの部分はコーラスが入り、良い感じに聞こえる・・・が、ダサい、ダサすぎる!
思わず両手で顔面を覆い、甘酸っぱい青春を歌ったような曲を噛み締めた。
約5分程の曲が終わるとパチパチと柊部長が拍手をした。
「曲も明るいし歌詞も解り易くて抜粋しやすそう・・・いい曲ね!」
嬉しそうに柊部長が立ち上がった。
・・・気にいったみたいだ・・・
★
新聞演劇部に用事があるという丸太さんと別れて、お豆くんと2人、昇降口に向かって階段を降りていた。
今日のお豆くんはいつもよりテンションが高く、声が1オクターブ高い。
「お豆くん、何かいいことあったの?」
何気なく訊いてみると、フフフと怪しげな笑い声をあげ、よくぞ訊いてくれましたと言わんばかりに黄緑色のコートのポケットからキャンディのようにラッピングされた黒くて長細いものを取り出した。
「人生で初めてバレンタインに女の子から貰っちゃいました」
へへへとお豆くんは嬉しそうに笑った。明らかにそれは丸太さんの作った巻き寿司だった。・・・みんなに配ってたんだ。
「どうしよう、白根くん、僕、もったいなくて食べれそうにありません」
「いや、食べた方がいいよ今日中に、それ、寿司だろ?」