恋するplants


 初めて好きな子に貰ったとはしゃぐお豆くんとじゃれあって昇降口に着いた。


 人の気配に顔をあげる。


 「ごめん、お豆くん。俺、用事できた・・・先、行ってくれる?」


 お豆くんに侘びを入れるとお豆くんは察してくれたのか頷き、また明日とそのままお豆くんのクラスであるG組の下駄箱の方に消えていった。


 「・・・ナズナ」


 ナズナが俺の声に気付いて顔をあげた。


 どうしたの?と訊ねると、


 「芹を待ってたんだ。ちょっと付き合ってもらえる?」


 ナズナはそう言うとにっこり微笑んだ。


 ファミレスにでも行く?と言う俺の問いかけにううん、中庭でいいとナズナが答えた。


 1号棟と2号棟の間に芝の拡がった中庭があり、季節の花が楽しめる花壇やイチョウやドウダンツツジなどの木が植わっている。


 等間隔にベンチが設置されていて、お昼休みにはそこで弁当を広げている生徒も多い。


 とは言え、冬場はさすがに人気が全くなかった。


 ナズナは誰も居ない中庭のベンチに腰掛けた。


 上はコートを着ているものの、下は短いスカートのナズナの膝元に巻いていたマフラーを差し出した。


 自動販売機で暖かい飲み物を2つ買って1つをナズナに渡した。


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