恋するplants
「ありがとう、さすが芹、私の好きな飲み物わかってるんだね」
ナズナは缶を受け取ると頬につけ、あったかいと目を瞑った。
「最近、ずっとミルクティーを飲んでたからはまってるのかなって思って・・・それより、どう?クラスの女子とは」
「あんまり変わんない・・・」
ナズナはミルクティーの缶を両手で包み込むように持ってふぅとため息をついた。
「でも、大丈夫。もうすぐクラス替えだし・・・芹と小石川がいてくれてよかったって思ってる」
屋上へと続く階段の踊り場でナズナを見た日を境に、俺はナズナを気にかけるようなった。
小石川にも事情を話して、ナズナが一人ぼっちにならないようお昼も一緒に食べている。
初めは疲れたような顔をして元気のないナズナだったが、最近は前のようにきらきらした笑顔を見せるようになった。
「一人ぼっちが辛いのは俺にも少し解るから・・・」
うん、ナズナは小さく頷いた。
「私ね、すごく反省してるんだ。今まで芹の優しさに甘えてたと。・・・芹が私から離れた時に解ってすごく寂しかった」
ナズナの声が震えた気がして、顔を覗き込んだ。
泣き出しそうなのを我慢しているのか眉をしかめて遠くの方を見ていた。
「もし、芹と付き合ってたらよかったのにって何度も思った。でも、それは、私の我がままだから・・・」