恋するplants


 確か、男を追いかけるのに必死で、途中で男に向かって投げて・・・拾ったっけ?


 ・・・どうしよう・・・定期もサイフも全部あの中に入っているのに・・・


 おろおろしながら辺りを見回す。


 ホームの方かな?駅員さんに頼んでみようか?改札口を通してくれるかな?


 「・・・お前が探してんのってこれ?」


 後ろから声がして、振り向くと小学生くらいの少年が私のカバンを掲げて立っていた。


 「あ!」


 そういえばさっき、投げた私のカバン、少年に当たってたよね?


 少年は不機嫌そうな顔をして、私を見上げている。


 「このカバン、超重いんだけど」


 「すみません・・・」


 私は少年からバックを受け取った。


 「超重いカバンが俺の後頭部に当たったんだけど」


 「わざとじゃないの・・・さっき、駅員さんが男の人を取り押さえてたの、見たでしょ?あの人、ひったくりだったの!私、あいつを捕まえようと必死で・・・」


 「頭、痛いんだけど・・・」


 「ご・・・ごめん」


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