恋するplants
ふっと唇の端を吊り上げて笑う丸太さんを見て、それが「了解」ということだなとわかった。
「じゃあ、善は急げということで、今から貰いに行ってもいいかしら?」
「え、今から?・・・いいけど・・・」
というワケで俺は丸太さんを引き連れて帰路についた。
★
「へぇ、ここがお爺さんの書道教室だったのね」
丸太さんが離れに足を踏み入れて辺りをきょろきょろと見渡した。
だいぶ日は長くなってきたものの、辺りはすっかり暗くなってきた。
電気をつけ、祖父の机を漁ると奥に新品の筆が転がっていた。
白い息を吐きながら祖父の書を眺めていた丸太さんにはい、これと筆を渡すと彼女はお礼を言って受け取った。
筆をカバンにしまい、離れを出た所で、玄関から祖母が出てきた。
「よかったら、晩御飯、一緒に食べない?」
祖母が丸太さんに声をかけた。
丸太さんは遠慮をしていたけれど、祖母がいつも俺と2人だけで食べているから人数が増えると嬉しいのよと言うと、家に電話してもいいですか?と祖母に答えた。
両親の許可を得た丸太さんは食卓についた。