恋するplants


 袖の横とズボンの横にスポーツメーカーのロゴが入り、胸元に「ARARE」とローマ字でユニット名が刻まれているオリジナルだ。


 「ひぃちゃんの弟なんだよ、年子なんだ」


 「え?柊部長の弟なんですか?」


 アイドル部、部長を歓談をしている柊部長とアイドル部のベビーフェイスの彼を見比べてみた。


 確かに目鼻立ちとか全体的に小作りなところとか似てる・・・だからアイドル部に頼んだんだと改めて納得した。





  ★




 アイドル部との練習が終わり、彼らが体育館を去ると、彼らの取り巻きの女子生徒たちも一緒に消えて言った。


 一気に静かさを取り戻した体育館で書道部の練習は続く。


 女の子たちのキンキンした声を聞いてたせいか頭痛がしてきた俺は、筆を持つのを止め、休憩にと緞帳の引かれた舞台の端に腰かけた。


 スポーツドリンクでノドの渇きを潤し、目の回りを軽くマッサージする。


 一息ついていると、


 「豆田!」


 と松ちゃん先輩の怒号が聞こえてきた。


 松ちゃん先輩は自分の身長くらいある大きな筆で「旅立ち」という字を揮毫(きごう)する。


 それだけ大きな筆なので墨を含ませたら重量もかなりのものだ。

< 137 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop