恋するplants


 俺たちはカラオケ大会が終わってからの出演だ。


 始めにステージを見ようという柊部長の意見からまずみんなしてグラウンドにやって来たのだ。


 ステージではほろ酔いのおじさんがよくわからない演歌を上機嫌で歌っている。


 おじさんを横目で見ていたら、柊部長がおじいちゃん先生を発見したらしく、


 「白樺先生」


 と声をかけた。


 「みんな来ましたね」


 おじいちゃん先生はホッホッと笑うとテントの中から出てきた。


 片手にもつ煮を持っている。


 腕時計で時間を確認して、


 「カラオケ大会がちょっと押してるみたいで、ちょっと始まる時間が遅れるみたいだ。会館の方の部屋を控え室として使っていいそうだよ」


 おじいちゃんの案内で会館の空いている教室を使わせてもらうことになった。


 この日のために柊部長が発注してくれた袴に着替える。


 上着が白で袴が黒、袖をたくし上げるための襷(たすき)は桜色だ。


 真っ白な上着に腕を通すと気持ちが凛としてくるしてくるから不思議だ。


 慣れない袴の着付けを何故か着るのがうまい松ちゃん先輩に手伝ってもらい俺とお豆くんは袴姿になった。


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