恋するplants


 「似合ってますよ、白根くん」


 「お豆くんこそ」


 お互いに誉めあって照れ笑いをした。


 足袋を履いて雪駄に足を通した。


 本番は素足で行うのだけれど、柊部長は形から入るタイプなのか足袋と雪駄も用意してくれた。



 部屋の扉が空いてARAREのメンバーが現われた。


 今日はみんな制服姿だ。


 部長の小山さんが俺を見て、


 「おはよう、いいね、袴。きまってる」


 と爽やかなアイドルスマイルを向けてきたので思い切り照れてしまった。


 その笑顔はズルイなと思う。


 「ARAREは衣装はどんな感じですか?」


 お豆くんが小山さんに駆け寄り訊ねる。


 「僕たちは今回は敢えて制服でやろうってことになったんだ。歌のテーマが卒業だし」


 「そうですか」


 お豆くんの声が上ずってる。


 ARAREの登場でますます緊張してきたんだなと察する。


 松ちゃん先輩もちょっとトイレと忙しない様子だ。


 俺は目を閉じて深呼吸をした。


 もう少しで本番だ。

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