恋するplants
「豆田くん、足袋を脱いで紙の外から出て。自分のパートかける?」
お豆くんは蒼白して何も答えない。
「ごめん、白根くん、豆田くんのパートもかいてもらえる?」
「はい!」
柊部長に突然、指名され、思わず声をあげた。
柊部長はお豆くんの代わりにタライを持ち、松ちゃん先輩と紙の外に出た。
「みんな、集中して、とりあえずかくことだけを考えよう!」
柊部長の声にみんな頷いた。
みんなそれぞれのパートに戻る。
俺も集中しないと・・・
曲が終盤に差し掛かり、自分のパートとお豆くんのパートをかき終えると柊部長が学校名をかきだした。
はっつぁん先輩が印を朱色のインクに浸し、押す準備をしている。
松ちゃん先輩とクリリン先輩は紙でかいた字の乾いていない部分を吸い取って、最後に紙を起こすとき字が泣かないようにしている。
お豆くんはステージの隅で体育座りしたまま呆然としていた。
不憫な・・・
丸太さんは・・・いないと思ったら舞台袖からしずしずと出てきた。
何だろうと思っていると、足元に足袋を履いていた。
丸太さんはそのまま袴の裾をまくり、ピンクのインクの中に足を入れた。