恋するplants
「丸太さん、何してんの?」
思わず声をあげてしまい、先輩たちが顔を上げる。
丸太さんは無表情のままインクのついた足で紙の上を走り回った。
松ちゃん先輩とクリリン先輩が蒼白し、気でも狂ったのかという風な視線を丸太さんに送っていた。
もう、めちゃくちゃだと・・・
間奏が入り、曲はサビを2回繰り返して終わる。
サビが流れた時にはっと気付いた。
体育座りをしているお豆くんを腕をひっぱる。
「お豆くん、お豆くんも丸太さんと一緒に足袋を履いて、紙の上で踊るんだ!」
「え!?・・・何で?」
顔をあげたお豆くんは泣いていた。
メガネの奥のつぶらな瞳が不思議そうに俺を見る。
「桜だよ!!」
「桜?」
「丸太さんが桜の花びらを舞わせているんだ」
お豆くんがインクに足を浸し紙の上を駆け出した。
足袋を履いた足跡は桜の花びらに見え、紙の上に花びらが舞っていた。
印を押し、みんながそれぞれ紙の端を持って紙を回転させる。